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17「へたくそ、てきとう。」



なめらか、ふわり。それももいいけれど、つなぎのない食べ応えある肉団子もすき。

へたくそか?というくらい荒いみじん切りの玉葱とひき肉をさっと適当に丸める、適当に。 まずは鶏ガラなどのそのままで美味しいスープに皮ごと丸ごとトマトを投入。 ゆーっくり火を入れて。

あぁこんな料理が作りたいのは秋だからだ。

コトコト・・・これには土鍋がよく似合う。 煮込み料理だけれど冬本番よりこの料理が「今」なのは

熟した夏の名残が鍋の中を夕日のごとく赤く染め、季節の移ろいの楽しさと

ほんの少しのもの悲しさを映してくれるからだ。





だからこれはトマト缶ではなく「トマト」で作りたい。

作るべきなのだ。

丸ごとの姿でしばらく静かに澄んだスープにつかる姿は入浴中かのようで、

なんだか可笑しくて愛らしい。

緩んできたところで木べらで崩す。

愛らしいとたった今、評したばかりなのに「崩す」。

でも「今よ」という頃合いでスープに馴染み溶け込めるようにそっと背中を押すイメージ。


煮込み料理って急いたら急いた味になるし、愛もって向き合うと美味しくなるに違いない。

だからほかの料理と平行せずに一心に心を傾ける。 そこに肉団子を離して加えて蓋をしていじらない。

火が通ったら生クリームたらり、ガリガリと胡椒。

水切りヨーグルトもサワークリームも合うなぁ。





和食の煮物、が似合う土鍋だけれど。





とってもお似合いだよと最後までトマトと対話する私は紛れもなく変わり者で、

だれよりも料理を楽しめるお得な質である。


「へたくそ、てきとう」は聞こえが悪いが、仕上がりイメージや食材の声や魅力に想い馳せ

私なりの食材への敬意と家族への愛の形なのだ。